45. (1)
以下は、生物の進化について書かれた文章である。
世界中にさまさまな形の角を持つカブトムシ(注1)がいますが、 その中のどれかが生き残りや すいということはありません。 カブトムシとしての条件さえ整っていれば、 角の形はどれでもいい。 たまたま突然変異(注2)でいろいろな角のカプトムシが生まれ、 そこには環境圧力がからなかったので、 どれも生き残っただけの話です (もちろん、 たとえば移動が困難なほど巨大な角など、 生きるのに邪魔になる形質の個体は淘汰(とうた)(注3)されたでしょう)。
こうした形質は、進化のプロセスにおける「遊び」の部分だといえます。 たとえば自動車なら、 四角い車体にタイヤが四つあり、中にはエンジンやハンドルがあるといった 基本形は、どのメーカーでも変わりません。しかしそれ以外の細かい部分――ヘッドライトの形やシートの色や材質など――は、 自動車としての本質にあまり関係がないので、車種やメーカーによってかなり多様性がある。 デザイン的に遊べるのです。
生物の場合も、デザイン的な遊びを入れる余地がなく、 多くの種に共通する基本形はあります。 生きている環境が同じなら、 体型が似てくるのは当然の成り行きで、 これは「収斂進化(しゅうれんしんか)」と呼ばれています。 たとえば哺乳類であるイルカの体型が魚類と似ているの収斂進化の結果のひとつです。
(中略)
突然変異は生物の多様性を拡大しますが、 環境圧力にはその多様性を絞り込む役割があるといえるでしよう。 生物の進化には、 その両面があるのです。
(注1) カブトムシ: 昆虫の一種で、雄は角を持つ
(注2) 突然変異: 親にはない生物的特徴が子に現れること
(注3) 淘汰される: ここでは、滅びる
カブトムシの例を挙げて筆者が言おうとしていることは、何か。